名月

名月

10月1日の夜、東の空に大きな月が昇ってきた。仲秋の名月は雲も無い大空を一つで渡って、やがて夜の11時頃には南の高い空に輝いている。薄の生け花は出来なかったが、お団子をお供えし、ゆで玉子を13個、名月の雫を集められるように表にセットした。
薄はあるのだが、刈り払い機で2度刈り、活けるほどもない。庭に玉すだれが咲いているので、活けようかと思っている内に、玉子を買いに行き、ゆで玉子を作っていて忘れてしまい、夜遅くになってしまった。
名月の雫を玉子に集めるという風流は京都のお師匠さんから教わった。仙台市での展覧会に京都から来られ、一緒に従弟夫婦の別荘に泊まりがけで駆けつけてくださった時に。「何のお師匠」さんということは格別決められないものがあって、人生の諸々というしかない。

10月29日が十三夜。旧暦の9月13日。この日まで玉すだれは咲いていないだろうが、また何か咲いてくれよう。

十五夜の夜に、手作り豆冊子「をんなの時間さまざま39」をまとめた。
やがて皆さんのところにお届けしたい。

南東の空ゆく名月
南東の空ゆく名月
お団子・お皿は多田祐子の絵皿/九谷焼
お団子・お皿は多田祐子の絵皿/九谷焼