シャンソン・ルタンの会
昨日は高等学校の同窓会が上野であって、愉しい一時を過ごした後、新橋のヤクルトホールで2009Le Temps Festival に夫金城と。なんと最も絶妙な座席を与えてくださったのは東丘いずひさん。夫と晴れがましい気分を満喫しました。東丘いずひさんありがとうございました。彼女は大振り袖姿でのシャンソン。草履にもキラキラのラメ入り鼻緒。蝶々夫人のシャンソン版。どれほどの所作の稽古をなさったか知らないが、もともと女優業の彼女のこと、様になっておりましたよ。
このフェステバルには、私の知り合いとしては東丘いずひさん、安奈淳さんが居り、三人目として瀬間千恵さんがおりました。東丘いずひさんは絵描きでもあってご一緒にタイランドにも国際文化交流使節として行き、なによりかっぱ村民です。いつも元気いっぱいの女性。仲好しこよしのなか。安奈淳さんとはグループ展・ダブニール展でいつも一緒に出品していて、グループの世話役田久保恵美子さんの処であったBBQの会では夫金城も安奈さんとツウショトの写真を持っている仲。訪ねた楽屋では笑顔でお話しいただいた。
さて、瀬間千恵さん。およそ35年前に遡りますが、瀬間さんが当時出演なさっていた“銀巴里”に私は彼女の歌声を聴くためによく通っていたのです。河名千絵というペンネームで詩を作っていた時代でした。銀巴里で歌声を聴きながら思索にふけっては詩作をしていたのでした。で、瀬間千恵さんの歌うシャンソンの中で一番好きだったのは“絹のスカーフ”。「あなたのくれた絹のスカーフ わたしは巻いた 寒いんじゃない あなたのぬくもり・・・」という歌詞と声がとてもマッチしていたのです。昨年も出演なさっておられたようでしたが、生憎と甥の結婚式とがかちあってしまい、今年ようやく、パリーから帰られた瀬間千恵さんの歌うシャンソンを聴かせていただきました。そして突然でしたが楽屋にも押しかけていき、35年前の事を勝手にお話し致しました。貴女がわたしの2回目の展覧会、はまのや美術サロンに来て下さったことを。
第2ステージでの貴女の演出は涙が出そうでした。長ーいフランスでの暮らしを想像しました。2年程昔、新聞の記事のなかに瀬間千恵のことを見ました。日本に帰って来られると待っていたのです。その瀬間千恵さんとほんの50秒、楽屋で会いました。本当は名刺や私のプロフィールを準備していたのです。名刺は河名千絵のものから多田祐子、金城祐子のものまで一枚にまとめた数少ないもの。でもそんなものは必要ありませんでした。先ず35年の空間を埋めることでしたから。
彼女はシャンソン界の大御所になられました。わたしはエルミタージュ美術館が収蔵してくれる絵描きになりました。35年。嬉しい再会でしたが、瀬間さんはまだ思い出してはいないかもしれません。いいのです。わたしは知っているのですから。
東丘いずひさん、有り難うございました。