我が家の最近

我が家の最近

 17. 8年前に「このように定期点検をやっているにもかかわらず事故が起きるのは何故でしょうね」とレポートに書き、「危険な原発は要らないですよね」との発言から、仕事が減った夫金城はごく最近、右手のパンチが相手に届かない、という同じ夢を何度も見たという。後、大地震がおこり、大津波に襲われ、「フクシマ」の原子力発電所の大惨事が起こった。「正夢」。夫は何だろうと思いつつも、話すことはなかった。
 日を追って、東京電力の社長の顔が全く見えないことや、無闇に広がる風評にストレスを増していった。水処理レベルの定期点検作業で、「フクシマ」や女川等作業をしたところは多い。水を送る電源が津波で使えなくなったということに怒りを顕わにした。日頃温和な夫は家の中で、原発は要らない、新たな電源の開発を急ぐべきだった、と繰り返し言う。放射性物質被害が少ない野菜が食べられずに刈り取られる様子にも、心から怒っている。
 目に見えないストレスがある日の朝右手に現れた。土曜日、病院へ。MRIで血栓があることが判る。相手に届かなかった右手のパンチ。原子力の怖さが判る故の血圧の変化。
今、力が全く入らずに、毎時リハビリをしている。一日おきに鍼とお灸に通い、自ら作ったリハビリグッズで訓練を重ねている。右手でドライバーが使えるように、箸が持てるようにと努めている。当然、4月5月6月の仕事はキャンセルとなった。注文先には、多大なご迷惑をかけてしまい、このことにも残念無念の日々。
 依然として、原発には怒りつつ。